中小企業M&A 成約報告
※両者承諾のもと、地域・業種等をぼかして記載しています
本年2号目のM&A案件成約です。
M&Aの経緯
譲渡人:都内及び千葉 ご家族+従業員で経営 代表の高齢化に伴い事業譲渡を決意
譲受人:都内 建設業及び付随サービス業を運営
譲渡人様は自動車販売、土木、飲食と手広く手がけられ、ご家族を中心に40年以上事業を営んでまいりました。
一線に立ち陣頭指揮をしておりましたが、代表者様の高齢化もありそろそろ隠居したいと考えておられました。
自動車販売や土木事業については譲渡、閉鎖を行いましたが40年以上続けてきた飲食事業には思い入れが特に強く、また収益も十分上がっていたためこのまま閉鎖するのも気が引けていたところご縁があり、弊社が売却のお手伝いをすることになりました。
譲受人様は都内で建設業とそれに付随するメンテナンス・警備等をされておりました。
業績は好調に推移していましたが、昨今の人材不足・高齢化により人手が足らなくなっていました。
そのため建設業以外の求職者にとって魅力のある事業を一つ事業として譲受け、企業イメージ向上に役立てたいとお考えでした。
成約に至るまでの難題
中小企業のM&Aはすんなり成約まで至ることは稀で、今回も難題に直面しました。
売り主所有の資材置場として使っていた倉庫及び土地に置いて、その土地の購入時の履歴で不鮮明なところがあり、残置物として現在にいたるまで利用していた建屋の所有権が明確に譲渡人であることを明らかにすることができませんでした。
譲渡人がこの土地を購入された際、建屋があるから購入したのであり売り主も同じ認識ではありましたが売買契約書には土地のことしか記載がなく(建屋自体には価格をつけなかった)、土地の売主も亡くなられており経緯の確認ができませんでした。
建屋自体の固定資産税も未登記かつ市区町村から請求が無く、支払っていた事実もないことから土地売主の相続人から建屋所有権を主張された時の抗弁する材料が乏しい状況でありました。
今回の場合、土地の売買自体も20年程経過しており、建物について市区町村とも確認をした上で万が一相続人から権利の主張があっても譲受人の責任で対応できると考え、M&Aを実行いたしました。
このような場合、買い手の司法書士及び弁護士からはかなり保守的な意見が出されます。これがリスクです、とリスクを提示し対処することが仕事なのですが、それを認めた上で実行する買い手代表にとってはブレーキをかけられる事が多々あります。顧問の先生にとってはM&Aが成功することよりも、失敗することのほうが遥かに大きなリスクなのでできればM&Aはしてほしくない、というのも本音のところと聞いたことがあります。
そのような先生方の思考も受け止めた上で決断できるのは、代表者しかいません。
M&Aのその後
今回M&Aされた飲食業とは、若者に人気のある求人を出せばすぐに決まるようなお店でした。
その店舗のブランドを利用し、企業グループに入れたため企業イメージも向上し、採用活動においてもこの状況下で順調に動いているとご報告を頂きました。
建設業から飲食業への全くの異業種参入というM&Aでしたが、通常の事業収益だけではないグループ全体への貢献のあるとても良いM&Aであったと思います。