中小ベンチャー企業のCFOはもはやファイナンス部門のトップではない
多くの方が想像するCFOとは、資金調達能力に長け、IPOやM&A等高度な財務テクニックを駆使し会社の成長を資金面でカバーする人材と認識されていると思います。
確かに、ここであげた特徴はCFOとしては必須なのですがこれだけで済むのは上場企業に限ります。
え?それ以外に何があるの?と思われるかもしれませんが、中小・ベンチャー企業のCFOの仕事領域は次の図のように幅広くあります。
狭義のCFOはファイナンス分野のみであり、経理財務部長の延長ですね。
上場企業においてはこの分野の仕事量でもかなりのものであり、他の領域としてストラテジー分野加わってくるでしょう。
では中小ベンチャー企業の場合はというと、ファイナンス部門+人事総務部長の役割+ストラテジーと幅広い分野をカバーしなければなりません。
中小、ベンチャー企業の場合リソースは管理部門より営業や開発部門に注力すべきであり、バックオフィス部門は外注できるところは外注し、最小スタッフだけで回しているという場合も多々あります。
そうすると当然人材管理や銀行との交渉等は社長の仕事になり、会社が成長するにあたり社長本来の仕事ではなく気づいたら管理業務ばかりやっていた、という事態が本当によく発生しています。
そのように社長のやるべき仕事ができない状態から抜け出すために、中小ベンチャー企業のCFOは広い領域をカバーする必要があるのです。
確かに資金調達はその中でもかなりのウェイトを占めますが、資金は使い、管理してこその資金なのでそのPDCAを回す事もCFOの仕事であり資金調達支援だけではもはやCFOとは呼べません。
CEOの右腕として戦略から執行まで
財務部長は間接部門の長であり、自社の財務に集中していればいいのに対しCFOは経営陣です。
CFOはマーケットの変化や自社の立ち位置といった経営戦略に関わる事から、効率的に社員が働けているのか、採用活動は、と幅広くケアしなければなりません。
経営陣なのですから、営業部の数値分析で終わりがちな財務部長ではなくどうアクションするか、人員配置は、チェックは、と他部署を巻き込んだ業務執行をする必要があり、それがCFOが存在する価値だと考えます。
CEOはビジョン、ミッションを掲げ邁進しますが、それを具体化する戦略を整えるのがCFOの仕事です。
CEOは夢見がちで、だからこそ他にはないビジョンを感覚的に描けるのですがそれを具体化する数字の裏付けを持っている人は少なく、そこに気づいてはじめてCEOはCFOを探します。
ステージ別CFOの役割
企業の目指すステージにより、CFOの役割はかわります。
- IPOを目指す
- IPOはせずともM&Aを含め会社の成長を目指す
- 特に長期的な戦略は無く、M&A等も検討していない
IPOを目指す場合、CFOはIPOに専念しなければまず実現は難しいです。VCをはじめとする資金調達と資本政策を考え、実行し、証券会社や監査法人と連携し経営企画もしなければならず、上場目標の2年前頃からは、フルコミットするCFOまたはIPOコンサルタントが必要になります。
IPOを目指さずとも成長していきたいと考える企業がまさしく本稿で紹介しているCFOの仕事をこなすことが役割となります。
ですが、一番CFOのような専門家が必要なのは長期的な戦略がない企業です。
このまま進むと自社はどうなる?株価は?相続?社内で継がせる?そういった将来の問題を具体的に指摘し、将来の選択肢を示す。そういった事も社外CFOの役割です。
まとめ
いかがでしょうか。CFO=財務部長では無いことを理解していただけたかと思います。
次回以降はさらにCFOの仕事を掘り下げ、特に財務面以外の分野でどう活躍するのかをお伝えいたします。